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2026-07-05

「穴馬の複勝は過大評価されやすいか?」2週分・全144レースで検証してみた

この記事について

「穴馬(人気薄の馬)の複勝馬券は、実力以上に買われて割高になりやすいのでは?」という、競馬でよく言われる仮説を検証しました。2026年6月27日・28日、7月4日・5日の2週末・福島小倉函館3場・全144レース、出走馬のべ1,845頭分の確定オッズと確定着順のデータを使い、単勝人気別に複勝馬券の回収率を集計しています。

検証方法

各レースの出走馬を単勝オッズが低い順(1番人気〜)に並べ、人気順位ごとに「複勝馬券を100円ずつ全馬に賭けた場合の回収率」を計算しました。複勝オッズは的中時の払戻倍率に幅があるため、確定オッズの上限・下限の中間値を代表値として使用しています。比較対象として単勝の回収率も併せて集計しました。人気順位が下がるほどサンプル数が急減するため(17番人気以降はごく少数のレースにしか存在しないため除外)、5つのグループ(1〜3人気・4〜6人気・7〜9人気・10〜12人気・13人気以上)にまとめた集計を中心に見ていきます。

結論:人気グループ別の複勝回収率

人気グループ別の単勝・複勝回収率の棒グラフ
  • 1〜3人気(本命): 複勝回収率92.6%(432頭中227頭が複勝的中、的中率52.5%)
  • 4〜6人気: 複勝回収率102.0%(429頭中119頭的中、的中率27.7%)
  • 7〜9人気: 複勝回収率93.4%(404頭中63頭的中、的中率15.6%)
  • 10〜12人気: 複勝回収率60.7%(318頭中16頭的中、的中率5.0%)
  • 13人気以上(穴馬): 複勝回収率59.4%(262頭中7頭的中、的中率2.7%)

結果ははっきりと仮説を支持する形になりました。1〜9人気までは複勝回収率が92〜102%とほぼ横ばい(むしろ4〜6人気が最も高い)なのに対し、10人気以下になると60%前後まで一段階落ち込んでいます。JRAの単勝・複勝の払戻率は約80%と公表されていますが、10人気以下の複勝は明らかにこれを下回っており、「穴馬の複勝は過大評価されやすい(=買われすぎて配当が実力に見合わない)」という仮説を裏付ける結果と言えます。

市場の暗示的中率との比較

人気グループ別の市場暗示的中率と実際の複勝的中率の比較グラフ

複勝オッズから「市場が織り込んでいる的中率」を逆算し、実際の複勝的中率と比べました。複勝は1レースにつき3頭が的中するため、単純にオッズの逆数を取るだけでは合計確率が本来の3(3頭分)に届かず一律に低く出てしまう点に注意し、レースごとに合計がちょうど3になるよう正規化した値を使っています。その結果、1〜3人気(暗示53.5%対実際52.5%)・4〜6人気(27.2%対27.7%)・7〜9人気(13.8%対15.6%)・10〜12人気(6.5%対5.0%)・13人気以上(3.0%対2.7%)のいずれも、差はおおむね±2ポイント以内に収まりました。

つまり、複勝オッズが示す的中率そのものは人気グループを問わずおおむね妥当であり、「市場が穴馬の的中確率を見誤っている」わけではなさそうです。

なぜ的中率は妥当なのに回収率だけ落ち込むのか

的中率が妥当なら回収率も同じように妥当になりそうなものですが、そうならない理由は「的中率はグループ全体の平均で見ている」のに対し「回収率は実際に的中した馬自身のオッズで決まる」という違いにあります。13人気以上グループの平均複勝オッズは37.53倍ですが、実際に的中した7頭に限ると平均22.22倍(グループ内でも比較的マシな穴馬)で、的中しなかった255頭の平均は37.95倍でした。つまり同じ「13人気以上」という括りの中でも、実際に馬券に絡むのはオッズが相対的に低い側に偏っており、オッズが極端に高い本当の大穴はほとんど絡んでいません。

「グループ全体の的中率×グループ全体の平均オッズ」という単純計算では、13人気以上グループの回収率は100.3%になるはずですが、実際の払戻は的中馬個別の(グループ平均よりだいぶ低い)オッズで決まるため、実際の回収率は59.4%にとどまります。この単純計算値と実際の回収率の差は、1〜3人気で6.3ポイント、4〜6人気で7.8ポイントとほぼ横ばいなのに対し、7〜9人気で33.2ポイント、10〜12人気で28.8ポイント、13人気以上で40.9ポイントと大きく開きます。人気が下がるほど同じグループ内でもオッズの散らばりが大きくなり(1〜3人気は1.76倍〜2.01倍程度の狭い幅だが、13人気以上は22倍台〜38倍以上まで開く)、的中が相対的に低オッズ側に偏る影響を強く受けることが、回収率の落ち込みをさらに深刻にしていると考えられます。

詳細データ:人気順位別の内訳(1〜16人気)

人気頭数複勝的中数複勝的中率複勝回収率単勝回収率平均複勝オッズ
1人気144頭95回66.0%86.4%83.6%1.37倍
2人気144頭70回48.6%91.9%65.7%1.89倍
3人気144頭62回43.1%99.4%63.7%2.39倍
4人気144頭49回34.0%94.8%86.3%2.92倍
5人気144頭43回29.9%114.3%70.5%3.92倍
6人気141頭27回19.1%96.8%76.2%5.07倍
7人気139頭23回16.5%73.1%69.1%5.99倍
8人気137頭26回19.0%132.2%110.3%8.45倍
9人気128頭14回10.9%73.9%16.6%10.07倍
10人気120頭11回9.2%96.2%11.7%13.57倍
11人気106頭2回1.9%21.7%58.1%17.29倍
12人気92頭3回3.3%59.5%0.0%23.89倍
13人気81頭3回3.7%64.9%0.0%28.81倍
14人気72頭3回4.2%118.0%348.5%33.22倍
15人気57頭0回0.0%0.0%0.0%41.65倍
16人気以上52頭1回1.9%34.7%0.0%52.56倍

分析

人気順位が1つ下がるごとに的中率は滑らかに低下していきますが(1人気66.0%→10人気9.2%)、回収率は10人気を境に明確に段差がつく点が今回のポイントです。8人気だけ回収率132.2%と突出していますが、これは26頭中1頭でも大きな配当の的中があれば数字が大きく振れるサンプルサイズの小ささによるものです。実際、11〜16人気は1レースあたりの的中数が0〜3件しかなく、個々の順位ごとの数字(21.7%や118.0%など)は振れ幅が大きいため、本記事では信頼性を確保するためグループ集計を主な根拠としています。

グループ集計で見ると、10〜12人気(60.7%)・13人気以上(59.4%)がほぼ同水準で頭打ちになっている一方、それより上のグループはすべて90%を超えており、この間に明確な境界線があることがわかります。一方で的中率そのものは市場の暗示的中率とどのグループも大きくは乖離しておらず、回収率の落ち込みは「市場が穴馬の勝率を見誤っている」からではなく、複勝という馬券の払戻構造(オッズのつき方)に起因すると考えられます。

この分析の見方

本記事の集計は2週末・144レースを対象にしたものであり、特に11人気以下は的中数が1桁〜数件と少なく、統計的なばらつきの影響を強く受けます。また複勝オッズは的中時の払戻倍率に幅があるため、確定オッズの上限・下限の中間値を代表値として使っており、実際の払戻金そのものとは厳密には一致しません。今回の傾向がすべてのレース・すべての期間で再現されるとは限らない点にご留意ください。

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※本記事は分析・娯楽目的です。馬券購入は自己責任でお願いします。

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