計算結果と入力確率のズレ
前回書いた「Adjusted Harville Model」で3連単の全組み合わせの確率を計算すると、一つ厄介な問題が起きます。
例えば、ある馬の「1着になる確率」を、計算した全組み合わせのうち、その馬が1着になっているものだけを足し合わせて検算してみます。
理屈の上では、これは最初に入力した単勝確率と一致してほしいところです。
ところが、実際にはズレます。
Harvilleモデルはあくまで近似であり、複数の馬の強さを掛け合わせていく過程で、入力した確率からどうしても少しずつ離れていきます。
IPF(反復比例フィッティング)による補正
このズレを修正するために使っているのが、統計学で「IPF(反復比例フィッティング)」と呼ばれる手法です。
考え方は地味ですが効果的です。
- 今の計算結果から、「各馬が1着/2着/3着になる確率」を改めて合計してみます
- それが目標値(入力した単勝・複勝確率から逆算した値)とどれだけズレているか、比率を求めます
- その比率を、該当する組み合わせの確率に掛けて補正します
- これを1着・2着・3着のそれぞれについて、何十回も繰り返します
繰り返すたびに、計算結果は少しずつ「入力した確率と矛盾しない」方向に収束していきます。
ツールでは、この補正を30回繰り返すことで、最終的な3連単確率を確定させています。
理論オッズと期待値
ここまでで、単勝確率・複勝確率という2つの「市場の声」から、3連単の理論価格(理論オッズ)が組み立てられたことになります。
あとは、これを実際の3連単オッズと比べるだけです。
理論確率 × 実際のオッズ、というシンプルな掛け算で「期待値」が出ます。1倍を超えていれば、市場が理論よりも高い価格をつけている、つまり「妙味がある」可能性を示す数値です。
ただし、組み合わせの確率が極端に小さいものは、この期待値が大きく振れやすくなります。なので、確率の大きさに応じて「信頼度(高・中・低)」という指標も別に持たせています。
次回は、実際のレースにこのモデルを当てて、何が見えたかを書きます。
SURABAYA LAB.